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心という不思議 何をやっても癒されない



『心という不思議  何をやっても癒されない 』      春日武彦 著    角川文庫

私は精神科の病院で勤務している。
しかし、外来という部署であるため、患者さんとの関わりがとても少ない。
本当はもっと患者さんと接したい。

精神科のことについてもっと勉強したい。理解したいと思う。
だから、最近精神科や心このことについて書かれた本をよく読む。

この本は、精神科医の書いた本。
春日武彦。都立松沢病院医長を経て、現在は都立墨東病院神経科部長。
医学博士。

”何をやっても癒されない” ってサブタイトルに惹かれて読んでみた。
なんか、私の最近の心境を表わしているような言葉だから。
実はこの春日武彦先生の書いた他の本も数冊読んだのだけど、ちょっと難しかった。
この本は比較的読みやすいと思う。

《 ヒーリング、ストレス対策…わき上がる不安感を改善しようと様々な「癒し」を求めても、
ますますいじけた気持ちに沈んでしまう人は多い。
そういう人は、充足感や達成感をもってその代用にするしかない…。
正常と異常の揺らぎの狭間で浮き上がる人間の心の有り様を、精神科医としての
豊富な臨床経験に基づく視点で見つめる著者が綴る、不思議な開放感にあふれた
エッセイ。生きづらさに悩む人必読の書。 》

という紹介が書かれている。
精神科医といっても、一人の人間。
うちの病院にもいろんなタイプの医師がいる。
優しく語りかけるように話す先生。
ダメなことはダメとはっきり大きな声で言う先生。
話をよく聞いて適格なアドバイスをしてくれる先生・・・。

と、これは私が雰囲気で感じているだけで、本当はどうなのかは
はっきりはわかりません。
患者さんのいる精神科の医師の診察室に入ることは、看護師とはいえタブーなことだから。

この本を書いた春日先生はどんな医師なのか。
あまり明るく朗らかというイメージではない。
というより、ちょっとネクラで、悲観的?
ネガティブというほどではないけれど、ポジティブだとは思えない。
でも、なんとなく話をよく聞いてくれて、それとなくさとしてくれそうな先生というイメージ。

いろんな物事について書かれたこの本。
内容を紹介するのは難しいので、私が共感できた内容の文章を少しだけ載せておきます。

 ・「軽い不幸」 「軽い病気」 になっておいたほうが大難を避け得るのではないか。
  ささやかな不幸は、少なくない数の人々の精神生活にとって、一種の保険として
  作用するのである。

 ・言葉の結び付けられることのなかった精神症状を 「治りにくい風邪」 として認識
  してしまうような雑駁さによって我々の心は成り立っているのである。

 ・ストレスとは苦しむためのものでもなければ解消すべきものでもなく、
  それを会話の材料としたり自分の忙しさを自慢するために存在している、と考える
  べきなのである。

 ・瓦煎餅のような人材は便利ではあっても、いくらでも取り替えが利く。
  オールマイティ幻想は捨てたほうが賢明だと、いつも私は診察室で思うのである。

 ・「日本人の心はどこに向かおうとしているのだろうか?」
  心に最終的な目標があるわけではない。究極があるといったわけでもない。
  だから答もない。


人の心の中や気持ちをわかることってとても難しいこと。
いやわかることなんてできないに違いない。
なぜなら、人それぞれ性格や取り巻く環境や状況が違うのだし、感じ方も人それぞれ
違うのだから。
人の辛さや悩みについてわからなくても、その人の気持ちがわかるように努力すること
が大事なことかなと思う。
とても難しいこと。でもそれが精神科の看護師をしている私の目標。

いろんな人に会うこと、いろんな経験を重ねることが大切なこと。
と思いながらも、暑いから外に全く出ない生活。
本当この夏は仕事に行く以外はほとんど外出していない。
これじゃあしょうがないですよね。

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まずは暑い中お疲れ様です。看護師さんは本当に激務ですね(噂でしか知りませんが・・・済みません)。

私はお盆休み真っ最中で、仕事を離れて精神的に随分と楽な毎日です。
一時よりも前向きになってきた事か実感できます。

poohさんも大変そうですが、お互いJAZZで癒されましょう!私もギター片手に好きな曲で癒されてます。
poohさんのブログも楽しみにしています。

おはよーございます!!
お仕事お疲れさまです。
実は私も以前こういう「精神&コミュニケーション」関連の本を読み込んだ経験があります!
その中で、「森田療法」の「物事を細分化して考える」っていうような点がとても参考になりました。
よく、
「おれ、わたしのってついてない・・・(人生すべて)」
って考えてしまうところを、
「最近のおれ、わたしってついてない・・・(最近だけ)」
細分化して、
「今日のおれ、わたしってついてない・・・(今日だけ)」
細分化して。
「今日の午後のおれ、わたしってついてない・・・
(今日の午後だけ)」
細分化して、
「今日のPM2時~3時のおれ、わたしってついてない・・・(今日のPM2:00~3:00のみ)」
ってどんどん細分化して実はついていないのは「今さっきのみ」って考えること。
「人生」ってなおおまかなくくりで考えるのはあまり、
「得」ではない!なーんて学びました!!





○LesPaul-L5 さん、
いつもコメントありがとうです。励みになっています。
そうそう、激務ですねってよくいわれます。
でも、まあ自分で選んだ仕事だし、いろんな人とかかわれるんで、日々楽しみながら
やっています。
命預かってる(なんておこがましい言い方ですが)という意味では、緊張感は常ですが。

まだまだ、暑いですからね。お互い体に気をつけましょう。
私はこの夏は好きなLIVEや美術館もちょっとお休み。家でのんびりしています。
っていつもですが。。笑。

○masuda323さん、こんにちは!
森田療法、聞いたことあります。よくは知りませんが。
なるほど、細分化して考えるっていいですね。
参考になりました。

気持ちってホント考え方次第ですよね。
いいことばかり続いていやなことあると、落ち込みがひどかったり。また、その逆も。
私は、いいことがあまりなくても、ちょっと落ち込んだりしても、まあ、なんとか生きていけるかなぁ、って思うことにしています。
可もなし不可もなしって言葉も好きです。

暑いですから、お互い体に気をつけましょうね。

こんばんは、poohさん。
お久しぶりです。ずいぶんご無沙汰していて申し訳ありません。

春日武彦は私も好きな物書きの一人です。この「心という不思議」も読みましたよ。
そう、物書きと書きましたけれど、精神科医として精神の障害を「治す」という視点ではなく、異常も正常も程度問題で、人間の考えることやることは、かくも愚かしく、しかもそれ故にどこか愛おしく、または笑える、という、どこか温かみのある突き離した患者、または人間の見方が好きですね。

患者のことを、診察室に何度もしつこく来られて嫌なやつと平気で言ったりするところなど、逆に、一人の人間として患者を見ていることが非常によく分かり、私としてはとても好感が持てます。

「不幸になりたがる人たち」とか「奇妙な情熱にかられて」など、好きな本の一つですね。
最近の「精神のけもの道」などもそこそこ面白かったです。

春日武彦に関しては、時間があれば自分のブログでも紹介してみたいと思いますが。
私のことですから、きちんとした紹介にはならないでしょうが。

あ、それと、「物乞う仏陀」も読んでますよ。
まぁ、なかなか凄い内容ですが、こういう物が提起する問題は何も新しいことではないですよね。
何ができるか?特に大したことが出来るわけではないのです。
大切なことは、その時思ったことを忘れないことだと思うのです。

○肩こりさん、こんにちは!
すごーいお久しぶり。生きてたんですね。
よかったよかった。うれしいです。(^^)v
相変わらずお仕事忙しいのでしょうね。

肩こりさんも読書家ですね。私は最近です。
精神については仕事のこともあり、とても興味があります。
春日武彦、他にも読んだけどちょっと難しい。
でも、肩こりさんのおすすめも是非読んでみます。

私は今度、あまり皆さんがやったことのないことに初挑戦するつもりです。
ずいぶん気持ちは落ち着きましたが、まだちょっとドキドキ。
今後もそのことについては記事書くつもりです。
また遊びに来てくださいね。
プロフィール

pooh

Author:pooh

Blog:じゃずりんぐ★
Jazzが大好き
ナース:精神科急性期病棟勤務
jazz sax修行中

ジャズを中心に美術や映画、本のことなど雑多に書いています。
大好きなナースのお仕事の事も・・・
元GAROのマーク 大好き~💙

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